起業するには、多額のお金がかかるといったイメージを持っていませんか?しかし、お金がないからと起業を諦める必要はなく、自己資金がほとんどなくても起業することは可能です。
業種や職種、規模によって初期費用や固定費用は全然違いますが、お金がない人におすすめの起業戦略は存在するので、そこに要点を絞って解説していきます。
- お金がなくても起業できる理由
- お金がなくても起業できるビジネス4選
- お金なし起業におすすめできないビジネス3選
- お金なし起業にかかる初期費用と固定費用
- 起業のお金を準備する方法
おすすめの資金調達方法まで解説しているので、起業を目指している方にはおすすめの内容です。是非最後まで読んでくださいね。
結論.お金がなくても起業できる
お金がなく開業をためらっている人もいるかもしれませんが、お金がなくても起業はできます。
自己資金は多いに越したことはありませんが、資金作りに時間をかけすぎると機会損失するリスクがあります。
やり方によっては、100万円以下の開業資金でも十分起業できるため、お金がないからと諦めないでください。
日本政策金融公庫や金融機関を活用して開業資金を準備する
起業に必要な資金は、自己資金だけではなく、融資・助成金・補助金などを駆使して資金を準備するのが理想です。
自己資金がほとんどなくても、事業内容や収益見込みに関する計画書の内容次第で資金調達が可能です。
とはいえ、開業資金の調達の際には自己資金の金額はチェックされるため、自己資金が少ないと借り入れできる金額が少なくなる傾向にあります。
創業融資の場合、借りられる金額は自己資金の3倍前後といわれます。事業内容等によっても左右されますが、なるべく多く事業融資を借り入れるために、最低限の自己資金を準備しておくといいでしょう。
会社法上は1円から起業できる
法人登記する場合には資本金を準備しますが、会社法上は資本金1円でも法人登記できます。
資本金は会社の体力や規模の目安になるため、資本金が多い方が体力や事業規模の大きい安心感のある会社に思えます。
しかし、ある意味で資本金はあくまで企業の判断材料のひとつでしかないため、資本金の準備がなくても事業をはじめることができます。
お金がなくても起業できるビジネス4選
お金をかけずに起業するには、初期費用と固定費がなるべくかからない事業を選ぶのが理想です。
具体的には、インターネット環境があれば仕事ができるインターネットビジネスがおすすめです。しかし、インターネットビジネスであれば何でもいい訳ではなく、スキルなし起業を成功させる5つの準備も意識したビジネスを選ぶのが最適です。
- ビジネスに役立つスキルを磨く
- コストをほとんどかけない
- 在庫を抱えない
- 10年後も続く仕組み・会社を選ぶ
- ストック収入のビジネスを持つ
ここでは、そのようなモデルに適合するビジネスを4つ紹介します。
WEBライティング関係
WEBライティング関係の起業は、パソコン1台あれば仕事が始められるため、最小限の出費で起業できます。
僕自身もWEB関係で起業しましたが、入口はWEBライティングがメインの仕事でした。
WEB集客に悩んでいるクライアントが多いため、SEO(検索エンジン最適化)を意識したライティングができれば、クライアントと長期契約ができるため売上が安定します。
また、WEBライターの傍らブログを運営して広告収益を得たり、WEBディレクターやSEOマーケッターといった上位スキルが身に付けば、より事業が安定します。
動画編集関係
動画編集関係の起業も、パソコン1台あれば起業できるため出費を抑えられます。ただし、動画編集ソフトが必要になるので経費として計上しましょう。
年間3~5万円のコストがかかるAdobe Premiere Pro、Final Cut Proなども本格的にはじめるなら必要でしょうが、1万円以下の買い切りで使えるWondershare Filmoraでもはじめのうちは十分です。
さまざまな企業がYoutubeをはじめ動画を使ったマーケティングに力を入れているものの、社内に動画クリエイターを抱えているのは稀で、大半は外注しています。
株式会社サイバーエージェントの調査によると、2017年時点で1,374億円だった市場規模が、2024年には4,957億円に達する見込みとされており、市場の拡大は今後も続きます。
市場規模が拡大していくと予想されるため、動画編集は今後もニーズがあるでしょう。
カット・テロップ挿入やBGMの挿入などは難易度が高くないため、クラウドソーシングなどを活用して下請けをするところから始めるのがおすすめです。
営業代行
企業の代わりに商品の営業を代行する「営業代行」「ブローカー」と呼ばれる仕事も、最小限の出費で起業できます。「営業は足で稼ぐ」というように身一つで始められるのが特徴です。
営業部門の弱い会社や短期的に営業力を強化したい企業は意外と多く、市場二-ズの高い事業モデルです。
飛び込み(訪問)営業、テレアポ、ダイレクトメール営業などの営業手段があるため、自身のスキルや営業商材にあわせて始めるのがおすすめです。
プログラミング、IT関係
WEBプログラマー、ゲームプログラマー、アプリケーションプログラマー、組み込み系プログラマーなどプログラマーもパソコン1台で起業できます。
IT業界は、慢性的に人材不足が叫ばれている業界のため仕事のニーズも強く、また最近ではリモートワークも後押しし、在宅のフリーランスプログラマーも一般化してきました。
一般的に、プログラマーのキャリアパスは、システムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーと確立されており、経験を積むことで収入も上げやすくなっています。
多様な職種によって使用するプログラミング言語が異なるため、取り組みたい分野にあわせてスキルを身に着けるといいでしょう。
お金なし起業におすすめできないビジネス3選
おすすめのお金なし起業の反面、おすすめできないビジネスもあるので紹介します。
今回紹介するのは、いわゆるインターネットビジネスの分野で、お金なし起業におすすめできないビジネスモデルです。
転売・せどり
転売・せどりは、基本的に軍資金がなければ稼ぎにくいモデルです。
転売・せどりは難易度が低く、副業レベルで収益をつくるのはそんなに難しくありません。しかし、基本的に利益率が低いビジネスモデルのため、生活を安定させるレベルを考えると、数百万円の軍資金が必要です。
また、世間的に転売・せどりは弾圧される流れになっているため、規制が強まる方向性でしょう。
転売には、在庫を抱えない「無在庫転売」と呼ばれる仕組みもありますが、より規制が激しいため、いままで使えていた仕組みが急に使えなくなることが良くあります。
FX・暗号資産取引
FX・暗号資産・バイナリーオプションなどの取引は、お金なし起業におすすめしません。
お金がないのにFXや暗号資産取引に取り組むと、高レバレッジで取引したり、スキャルピングなど短期取引をしがちです。
どんなにチャート分析ができても、為替相場を読み切ることは不可能なため、一度の読み違いで大損する可能性が高いです。
また、自動売買システムのようなトレードツールも、数年で使い物にならないものが殆どであり、且つ自身に何のスキルも身に付かないため、利用を控えるべきです。
コーチ・コンサル・セラピスト
コーチ・コンサルタント・セラピストは、自身の経験やスキルを人に教えたり伝えたりするビジネスモデルで、低コストで手軽に始められるため、とにかく起業したいひとり起業家に人気です。
例えば、ダイエットコーチング、経営コンサルティング、美容付きセラピストのように、種類はさまざまです。
手軽に始められるため、ライバル・先駆者が多いこと、業種によっては市場ニーズの狭いこと、マーケティングやセールススキルがないと売上に繋がらないことなどの理由から、おすすめできません。
お金なし起業にかかる初期費用と固定費用
お金がない起業で重要なのは、事業にかかるコストを可能な限り削ることです。
ここでは、事業に最低限かかるコストについて初期費用と固定費用にわけて解説します。
起業に最低限かかる初期費用
お金がない起業をする際には、できるだけ初期費用をかけない起業がおすすめです。
どんなに費用を抑えても、最低限かかる次の費用の積み重ねで20~30万円は初期費用がかかると覚えておきましょう。
- 開業資金
- 事務所の初期費用
- 設備投資の費用
- 営業準備費用
開業資金
開業資金は、法人登記の手続きにかかる費用で、法人(株式会社)の場合、約30万円かかります。開業資金を抑える方法としては、法人登記せず個人事業主になる選択肢です。
法人と個人事業主の事業開始にかかる費用は違い、法人(株式会社)の約30万円に対し、個人事業主は0円です。個人事業主を推奨している訳ではありませんが、初期費用を極限まで抑えるという意味では、個人事業主を選択するのもありでしょう。
事務所の初期費用
個人の賃貸の場合、敷金は家賃の1~2ヶ月分が相場でしょうが、法人契約の場合は家賃の4~6ヶ月分と多くなることも珍しくありません。
お金なし起業において事務所の優先度は高くないため、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを使うのがいいでしょう。
バーチャルオフィスの場合だと、年間で1万円~5万円で利用できるところもあるので出費をかなり減らせます。
自宅兼事務所も無しではありませんが、自宅の情報がWEBサイトや名刺・請求書に載るリスクがあることを覚えておきましょう。
オフィスにこだわりがなければ「GMOオフィスサポート」がおすすめです。月600円~と安価な割に主要駅で登記できます!
設備投資の費用
設備投資も最低限にしておくといいでしょう。事業内容によっては、機械・車両・備品などと設備投資が膨らみますが、お金をかけずできるだけ小さくはじめます。
最低限必要になるのは、パソコン・インターネット回線・固定電話回線です。
パソコンをもとから使用していれば、それを使っても構いませんが、だいたい3~5万円程度のスペックであれば大抵の事業には対応します。
インターネット回線も、月々5千円程度で契約できます。コワーキングスペースやレンタルオフィスで仕事をする方は不要です。
固定電話は不要だと思うでしょうが、銀行口座の開設や融資の申請の際など何かと必要になります。固定電話回線を敷くとコストがかかるので、アプリで固定電話の番号が取得できる【03plus】がおすすめです。
営業準備費用
営業準備費用とは、WEBサイト・ロゴ・名刺・ちらし・パンフレットなどの制作や、営業代行会社に支払う契約金など、営業活動の準備かかる費用です。
小さく事業を始めるにせよ、最低限WEBサイト・ロゴ・名刺は必要になるので費用を準備しておきましょう。
かなり安くてWEBサイト制作は10~20万円、ロゴデザインは1~3万円、名刺デザインと印刷で1~3万円程度かかります。
ココナラ、クラウドワークス、ランサーズなどを使えば、比較的安い業者が見つかるので探してみるといいでしょう。
更にコストを下げたい場合は、無料でとりあえずのWEBサイトが使える「ジンドゥー」や「WIX」、デザイン制作物が作れる「Canva」を使うのもおすすめです。
起業に最低限かかる固定費用
初期費用よりも起業後に重くのしかかるのは、毎月の固定費です。
特に重くのしかかるのは人件費ですが、法人の場合は1年に1回しか変更できないので慎重に報酬額を決めましょう。
人件費
固定費の中でもっとも負担が大きいのが人件費です。社員を雇わない場合でも、自分自身への人件費がかかります。
法人登記して開業する場合、人件費は役員報酬の扱いとなります。役員報酬は1年に1回決算のタイミングでしか金額を変更できません。
そのため、役員報酬を決める際には、1年後の状況まで見越して金額を決める必要があります。
一方で個人事業主は、給与の概念はなく事業上の利益が個人の所得として計算されます。特に固定給がある訳ではないため、自分の生活費にお金を回しすぎると、経営が苦しくなります。
社会保険料
法人の場合は、健康保険料と厚生年金保険料が天引きされますが、これらの社会保険料は労使折半といって会社と個人で50%ずつ負担しなければいけません。
つまり、自身が代表する法人においては、個人で負担する50%の社会保険料にあわせて、会社が負担する50%も負担しなければなりません。
会社負担の割合は役員報酬の約15%なので、年収400万円だったら社会保険料は約60万円が会社負担となります。
一方で個人事業主は、国民健康保険と国民年金への加入が基本です。国民健康保険は住んでいる地域などによって変わりますが、国民年金は金額が決められており、令和4年は月額16,590円です。だいたいで月17,000円かかると思っておけばいいでしょう。
事務所賃料
事務所を借りる場合は、事務所の賃料がかかります。
初期費用でも解説しましたが、バーチャルオフィスを契約することで年1~5万円程度で済みます。
通信費
インターネット回線、固定電話回線の通信費が毎月5千円~1万円程度かかります。
広告宣伝費・会議会合費
営業のための広告宣伝やクライアントとの会議費用は、固定費として見込んでおくといいでしょう。
基本的には毎月変動する費用ですが、営業に関わる固定費として、月5万円、月10万円と予め用意しておくと、必要以上の出費が抑えられます。
税理士報酬
経理に関する知識に乏しければ、税理士との契約は必須です。
税理士と契約することで、いつでも経営や税務に対する悩みや質問を相談できると共に、難解な経理をプロに任せることができるため、売上をつくる業務に集中できます。
また、顧問税理士がいない会社は税務調査の対象になりやすく、税務調査時の準備も不足しがちです。リスクヘッジの意味で税理士と契約しておくのが無難でしょう。
小さく起業する場合だと、月1万円~月3万円程度が税理士報酬の相場でしょう。税理士事務所によっては、確定申告時は料金が別になることがあるのでご注意ください。
起業のお金を準備する方法
起業のために準備するお金を自己資金だけで賄うのは非効率です。融資、助成金・補助金を駆使し、事業資金を準備します。
ここでは、融資、助成金・補助金の違いやおすすめの方法について解説します。
融資
お金なし起業にの事業資金のメインは融資で準備します。融資とは、いわゆる借入です。
中でも最も有力である政府系列の金融機関である日本政策金融公庫は、新しいビジネスをスタートする人をサポートする創業融資を積極的に行っています。
創業時は「新創業融資制度」は、最大3,000万円の枠を年利3.45%以下の金利で調達できるのでおすすめです。
日本政策金融公庫以外にも、各金融機関の融資制度が利用できますが、日本政策金融公庫に比べて融資審査が厳しくなります。
そのため、資金調達のサポートを行う商工会議所を活用ししましょう。商工会議所は、融資に関する一次的な審査や金融機関への推薦などをおこないます。
商工会議所のマル経融資は、最大2,000万円の枠があり、金利1.3%とかなり優秀で、比較的申請が通りやすい融資制度です。
助成金・補助金
助成金と補助金は、いずれも支払ったお金に対して、後から支給されるお金であることに変わりありません。そのため、軍資金がない状態だと適用されないのが基本です。
また、助成金は給付条件を満たしていればもらえますが、補助金は他社とのコンペ形式になるため、条件を満たしても受け取れない可能性があります。
補助金や助成金は、経済産業省・厚生労働省・地方自治体・民間団体と主催団体によって4つに分けることができ、それぞれの補助金と助成金は各HPで確認できます。
融資を活用し資金調達をした上で、助成金・補助金を融資の範囲内で申請すれば、融資の返済を助成金・補助金で賄うことができるので、組み合わせるのがおすすめです。
まとめ
今回は、起業したいけどお金がない方に向けて、お金をかけない起業方法について解説しました。本記事のポイントをまとめます。
- 起業資金のうち、自己資金の足りない部分を融資や補助金・助成金で賄う
- お金がなくても成功しやすいビジネスモデルを選んで起業する
- 初期費用と固定費用をできるだけ下げる
起業において自己資金を準備することは大切ですが、自己資金を準備するのに時間がかかりすぎて機会損失するのは勿体ないですよね。
融資や補助金・助成金などの制度をフルに活用して、起業するスピードを速めるように行動することがおすすめです。