「ひとり起業は気楽そうだし、コストが抑えられそう。」という理由で、ひとりで起業することを検討していませんか?
僕自身も2016年に一人で起業したので、ひとり起業のメリットは身をもって経験していますが、一方でデメリットも痛感しています。
今回は、2016年にひとり起業家になり、2018年から法人経営と同時に社員を雇用している運営者が、ひとり起業のメリット・デメリットについて解説します。
- ひとり起業のメリット
- ひとり起業のデメリット
- ひとり起業のデメリットを解決する方法
ひとり起業の時期と社員を雇用している時期の両方を経験しているため、起業を目指している方にはおすすめの内容です。是非最後まで読んでくださいね。
ひとり起業とは
ひとり起業とは「一人で事業を起こすこと」を指します。ひとり起業の形態は、次の3つの方法があります。
- フリーランス
- 個人事業主開業
- 法人の代表
フリーランスと個人事業主は似ていますが、フリーランスは税法上の定義は存在しない一方で、個人事業主は税法上の言葉として使用されます。また、フリーランスは開業届を出さずに働いているのが一般的で、開業届を出した場合は個人事業主として扱われます。
法人も1人で登記することが可能で、一般的には株式会社で開業しますが、合同会社・社団法人など事業内容に応じて会社の形態が選べます。
気軽にフリーランスからはじめる方が多いですが、税務や会計、社会的信用力などを踏まえて起業の形態を選ぶのが得策です。
詳しくは「個人事業主と法人の違いを解説!税金や経費、社会的信用力などで比較」でご確認ください。
ひとり起業のメリット
ひとり起業をした僕が感じたメリットは、次の通りです。
- すべて自分で意思決定できる
- コストを極限まで抑えられる
- 色々なスキルが身に付く
- 報連相や無駄なミーティングが不要
- 意見のすり合わせが必要ない
それぞれについて解説します。
すべて自分で意思決定できる
最大のメリットは、業種や扱う商品・サービス、働く場所、営業日、付き合う相手まですべて自分で意思決定できる点です。自分で意思決定できるのは精神衛生上も健康的です。
ビジネスにおいて意思決定のスピード感は極めて重要で、素早い判断ができるほどチャンスにも恵まれる傾向にあります。組織が大きくなれば意思決定に時間がかかり、場合によっては自分の意見を妥協しなければいけない場面もあるでしょう。
特に新しい挑戦をする場合、組織が大きいと何度も検討している間に機を逃す可能性があります。一方で、小回りを利かせた立ち回りができるひとり起業は、素早い意思決定によってチャンスをつかめる可能性が高くなります。
コストを極限まで抑えられる
起業したいけどお金がない方は特に、人件費が自分のぶんだけで済むため、コストが最大まで抑えられます。
事業形態にもよりますが、IT・WEB関連といった事業や、家事代行サービス事業のような事業であれば数万円で事業が行えます。
コストが小さければ、売上の大半が利益になるため、自身の給与や報酬を上げやすいのはひとり起業のメリットでしょう。
人間関係から解放される
ひとり起業は、上司も同僚もいないため、社内の人間関係のトラブルに悩まされることはありません。
人間関係のトラブルは、会社を辞める理由でも常に上位にランクインするほど、仕事において重要なものです。上司や同僚との人間関係から解放されるのは、仕事に向き合うモチベーションを上げる要因になります。
無駄な業務を省ける
会社に勤めていると、単なる報告会と化したミーティングや、資料作成、判子承認など、無駄だと思える業務もやらなければいけませんがひとり起業には無縁です。
ひとり起業は、自分の裁量で仕事を選べるため、無駄な業務を全て省き、やるべきことに集中できます。
横断的なビジネススキルが身に付く
ひとり起業は、経営しながら現場の業務もひとりで行うため、営業・マーケティングから、法務・税務などのバックオフィスまで基本的にはひとりで行います。
サラリーマンでは経験しない専門外の業務もひとりで行うことになるため、経営全般の横断的なビジネススキルを身に着けることができます。
各業務の内容をある程度把握していれば、事業を大きくして社員を雇う場合に正当な評価ができるため、自分がさまざまな業務スキルを覚えておくことに価値があります。
ひとり起業のデメリット
ひとり起業には、メリットだけではなく一人で身軽にできるからこそのデメリットがいくつかあります。
- 徹底的な自己管理が必要
- 客観的な意見が得られない
- 事業拡大に時間がかかる
- 資金調達が難しい
- 専門外の業務もやらなければならない
それぞれについて解説します。
徹底的な自己管理が必要
ひとり起業には、厳しい自己管理が必要です。ついつい怠たり、健康を害すと自分の収入に大きく跳ね返ってきます。
ケガや病気で入院をしてしまうと、自分の代わりに働いてくれる人はいませんし、会社から休業手当がもらえる訳ではありません。進行しているプロジェクトがある場合、クライアントに迷惑をかけてしまう可能性もあります。
自由度が高いほど、時間や金銭感覚もルーズになりがちです。目に余るほど自分に甘いとクライアントが離れてしまうため、収入も不安定になります。
自分で全て決められるのはメリットではありますが、収入を安定させるために自己管理の徹底が必要です。
客観的な意見が得られない
ひとり起業では、事業の相談相手をみつけるのに苦労します。人間関係の煩わしさに悩むことはない一方、誰の力も借りることができません。
困ったトラブルが発生したり、悩みや不安があるときにでも、客観的な意見が得られず、間違った方向にひとりで突っ走ってしまう可能性もあります。
事業拡大に時間がかかる
ひとりで事業を行うと、社員に仕事を任せられないぶん事業拡大に時間がかかります。
会社を大きくしたい、数年で上場したいといった夢があるなら、ひとり起業ではあまりにも時間がかかってしまいます。
資金調達が難しい
ひとり開業は、開業資金が比較的少なくて済みます。しかし、店舗を構えるなど、まとまった開業資金が必要な事業を行う場合でも、資金調達に苦労します。
金融機関や投資家は、事業の将来性や返済能力を審査して、いくら貸し付けるかを判断します。そのため、事業拡大に時間がかかり、個人の返済能力に頼るひとり起業は不利になるのです。
特に年齢が若いうちは、預金の少ない方が多いので資金調達が難航する可能性があります。どうしても開業資金の借り入れが必要な場合は、複数人で経営することも視野にいれましょう。
専門外の業務もやらなければならない
横断的なスキルが身に付くのはメリットですが、裏を返せば専門外の業務もやる必要があります。
僕の場合は、起業してからWEB広告や、illustrator・Photoshopのデザイン、経理や会計など、契約書の作成など数々のことを学びました。
事業を進める中で、想定もしなかった業務が発生することが多々あるので、専門外の業務を勉強しながらやる必要が出てきます。
ひとり起業のデメリットを解決する方法
- 経営コンサルタントを活用する
- 起業家コミュニティに参加する
- 専門外の業務は業務委託する
経営コンサルタントを活用する
ついつい誘惑に負けて自分を甘やかしてしまった経験は誰しもあるはずです。それほど、厳しく自己管理するのは難しいものなのです。
自己管理に自信がない方は、経営コンサルタントと契約を結ぶのがおすすめです。
経営コンサルタントを活用することで、経営に関する専門的なアドバイスをもらいながら、自分を甘やかさない環境が整います。
僕自身も起業当初は、経営コンサルタントと契約を結び、月1回のミーティングを設けていました。コンサルタントに自らのスケジュールとアクションを宣言することで、やらなければいけない状況を自分でつくっていました。
経営コンサルタントに依頼する場合は、専門領域や料金にかなりバラツキがあるので、複数人見比べてみるといいでしょう。Twitter等で「経営コンサル」と調べて見たり、商工会議所に相談するのがおすすめです。
起業家コミュニティに参加する
相談相手を見つけたり、事業パートナーを見つけるために起業家コミュニティやオンラインサロンに所属するのがおすすめです。
有料のもの無料のものと色々ありますが、起業当初は無料のもの、もしくは低価格のもので十分です。
起業家コミュニティに参加する最大の目的は、相談相手をみつけることです。起業当初の方は、比較的安価な起業家コミュニティに集まりがちなので、同じ立ち位置の起業家を見つけるのに好都合です。
僕自身も、十弱の起業家コミュニティに所属してきましたが、正直高額だから質が良いという訳ではありません。まずはお試しという意味も込めて、安価なところからはじめてみるといいでしょう。
専門外の業務は業務委託する
苦手な業務や自分がやらなくていい業務は、業務委託するのも手です。最近ではクラウドワークスやランサーズのようなクラウドソーシングサービスや、タイミーなどのスキマ時間だけバイトを募集できるサービスもあるため、外注しやすい環境が整っています。
僕の場合は、一部の簡単な業務を委託先に任せたり、自社サービスのチラシ配布をタイミーで募集した短時間アルバイトの方に任せており、自分はやるべきことにできるだけ集中できるようにしています。
もちろん、業務委託する際には費用がかかるため、費用対効果を計算した上で委託すべきか判断しましょう。
まとめ
今回は、ひとり起業のメリット・デメリット、さらにデメリットを解決する方法について解説しました。それぞれ最後にまとめます。
- すべて自分で意思決定できる
- コストを極限まで抑えられる
- 色々なスキルが身に付く
- 報連相や無駄なミーティングが不要
- 意見のすり合わせが必要ない
- 徹底的な自己管理が必要
- 客観的な意見が得られない
- 事業拡大に時間がかかる
- 資金調達が難しい
- 専門外の業務もやらなければならない
- 経営コンサルタントを活用する
- 起業家コミュニティに参加する
- 専門外の業務は業務委託する
本記事ではデメリットも解説しましたが、ひとり起業はメリットのが大きいことを痛感しています。
低リスクではじめられるひとり起業は、とにかく起業したい方におすすめの起業方法といえるでしょう。